緊急時の遺言の残し方|危急時遺言とは

病気や事故などで緊急事態となり、すぐにでも遺言を作成しないと間に合わない!という場合に認められるのが危急時遺言です。この記事では危急時遺言について説明します。

危急時遺言の位置づけ――「特別方式」の一つ

遺言の方式

遺言には大きく分けて「普通方式」と「特別方式」があり、危急時遺言は特別方式の一つになります。死亡が差し迫っているなど普通方式を利用する余裕がないときに特別に認められるのが「特別方式」です。

危急時遺言をする前に、まずは「普通方式」での遺言ができないかどうかを検討するべきでしょう。

自筆証書遺言の作成はできないか?

自分で文字を書ける状態であるのならば、まずは自筆証書遺言でいけるかどうか、考えてみましょう。

鉛筆で書いても法的に有効な遺言となります。チラシの裏に書いても、ハンコの代わりに拇印で押印しても、すべて有効となります。例えば手元にある紙に「遺言書 全財産を妻○○に相続させる。〇年〇月〇日 氏名(生年月日)(拇印)」とだけ書いておけば、ひとまずは有効な遺言になります。内容面や書き方について不安があるのならば専門家に相談すればよいでしょう。

なお、自筆証書遺言の書き方について詳しくは、「【簡単】遺言書の書き方」をご覧ください。

公正証書遺言の作成はできないか?

もし自分で文字を書けない場合であっても、公正証書遺言であれば作成が可能です。公正証書遺言の文面は公証人が作成するからです。また、入院中で病院から出られない場合でも、公証人に病床まで来てもらって作成することができます。

公証人との打ち合わせや、スケジュール調整が必要なため、1~2週間程度の時間を要することが多いですが、公証人のチェックのもとで確実に有効な遺言が残せます。時間的猶予がある場合は、公正証書遺言にした方がよいでしょう。

公正証書遺言については、詳しくは、「公正証書遺言の作成手順と手続きの流れ」をご覧ください。

 

これらの普通方式によって遺言書を作成するのでは間に合わないような状況のときに、いよいよ危急時遺言でいくしかないということになります。

危急時遺言の作成の流れ

証人を3人集める

危急時遺言をするためには、証人3人以上の立ち合いが必要です。証人は利害関係の無い人でなければなりませんので、妻(夫)・子ども・親や受遺者(遺贈される人)以外で証人となってくれる人を探します。入院中の場合は主治医の先生など病院関係者の方が1人は証人になってもらえるとよいでしょう。

遺言の聞き取りと遺言書本文の作成

遺言者と証人3人が集まったら、遺言者から証人の1人に遺言内容を口頭で伝え、証人はその内容をもとに遺言を書面に書き起こします。手書きでもワープロでその場で印刷しても構いません。書き終わったら、遺言者本人と他の証人に読み聞かせまたは閲覧させます。そして、内容に間違いがなければ、各証人が署名と押印をします。

家庭裁判所に「確認」の請求をする

証人または利害関係人が家庭裁判所に「確認」の請求をします。遺言書作成の日から20日以内に行わないと、この遺言は無効になってしまいます。遺言書を家庭裁判所に提出し、方式に問題がないことが確認されると、有効な遺言として成立することになります。なお、申立先は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

その他の注意点

一時的な緊急措置なので6か月で失効します

危急時遺言はあくまで緊急時の一時的な遺言なので、体調が回復して普通方式の遺言ができるようになってから6か月経過した場合は無効になります。

本人の意思確認についてなるべく証拠を残す

危急時遺言は、一刻を争う緊迫した状況の中で作成されます。本人の意識がはっきりしていたか、本当に本人の意思なのかについて、疑いが残り、争いになる余地がないとは言えません。そこで、場合によっては、本人の肉声を録音や録画で残しておいた方がよいでしょう。また、証人についても、医師や病院関係者など第三者的な立場の人になってもらうのが望ましいです。

まとめ

遺言の方式には「普通方式」と「特別方式」があり、緊急時には「特別方式」として「危急時遺言」という選択肢があります。一刻を争う緊急のときには迷っている時間はありません。まずは、遠慮なく専門家に相談して助言を仰ぐことをお勧めします。

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