不動産の評価額は、評価方法によって変わります。遺産分割の対象に不動産が含まれている場合、その不動産の評価額で揉めることは多いです。

たとえば、相続人のうちの一人が不動産を相続し、残りの相続人が預金を相続するような場合、不動産を何円相当と考えれば公平と言えるでしょうか。

そこで、今回は遺産分割における不動産の評価方法についてご紹介します。

よく使われる4つの不動産の評価方法

一般的に「一物四価」といって、不動産を評価する方法は4つあります。

1.実勢価格

実際に市場で売買される取引価格をいいます。いわゆる「時価」といわれるもので、取引事例や近隣の取引価格を参考にする場合が多いです。

具体的には不動産業者に査定を依頼して行います。インターネット上で無料で査定してくれる業者もあります。

タイミングや業者によっても価格にかなりばらつきがあるため、公平な基準として納得できるかは難しいところです。この場合の評価額は比較的高額になることが多いです。

2.公示価格

国土交通省が毎年1月1日時点の土地を算定した価格をいい、毎年3月下旬頃に公表されます。

公平性や透明性が高いのがメリットですが、全ての土地について公示価格が公示されるわけではないため、地域要因や地形などの個別的要因の影響をどのように判断するかが難しいという側面があります。

3.相続税評価額(路線価)

国税庁が算定するもので、毎年1月1日時点の価額で7月に公表されます。公示価格のおおむね80%を目処に設定されています。

4.固定資産税評価額

固定資産税の算定の基礎となる土地価格を評価したもので、3年に1度、前年1月1日を基準にして公表されます。公示価格のおおむね70%を目処に設定されていると言われています。

遺産分割における不動産の評価

遺産分割は相続人全員による合意により行われるものです。なので、相続人間で納得のいくものであれば、上記のどの方法でも構いません。金額を巡って争いが起きそうな場合なのか、それともたんに大体の目安を知りたいだけなのか、状況によって使い分けるのがよいでしょう。

一番簡単なのは、固定資産税評価額を70%で割り戻す(固定資産税評価額÷0.7)方法です。固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書に記載してあり一目瞭然だからです。

公平を期す場合には、実勢価格もよくつかわれます。近くの不動産屋やインターネットの一括見積で複数見積もりを取って平均値をとります。

いずれにしても、相続人間で不公平感がでないように、相続人全員が納得する不動産評価方法を選びましょう。

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